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ネコティアスの時事コラム

2009年07月03日

ネコティアス
老人の国ニッポン
<今後の株式市場の予見>
 

まずは結論から

★今後の株式市場の見通し★

 株式市場においては、【世界同時不況は起こったが ⇒ リバウンドを過ぎれば世界同時回復ではない】ことが徐々に理解されていくことになろう。
つまり

  1.  回復に拍車がかかるセクターと再度落込むセクターに二分される。

  2.  資源・素材がよしんば上昇トレンドを維持しても、日本全体にとってはマイナス

  3.  財政出動も輸出型大企業救済であるため、内需拡大は起こらず、また輸出国も 輸入国が自国重視の政策をとる為輸出も元には戻らない。

  4.  世界の流れに沿ったセクター(原子力、水関連、電気自動車etc.)については 利益の増額修正の伸び代がなくなったと判明するまで(この時点でPERが改めて意識される)期待感が高まる。

  5.  政権担当政党が変わろうが、方向性という指針がない以上、大転換は起こらない。 ただし欧米の投資家は日本を過大評価しているため、一時的に期待感を強める。

  6.  BRICsのうち資源依存が高すぎるロシアを除いてはバブルを形成し続ける。 だからと言ってそれら諸国に対する輸出が100%まで戻ることはない。

  7.  米国は人口が増えているため、回復は早い。 マラソンでいえば今は日本に後れを取っいるが早晩抜かれる。 その時に日本は一旦追走するがしばらくすると自力で遅れだし前の走者は視界から消える。

  8.  米ドルの下落は、米国の回復が確かなものになった時に起こる。

 結論としては今後、外人買いと国内機関投資家の買いにより秋口までに12000円〜15000円を付けた後はPER水準調整で上げ止まる。   その後は日本の伸び代がないことが徐々に理解され下落トレンドに入る。   この間にドルの下落トレンドも認識されれば10000万円割れ水準での小動きとなる。   現在の水準が1年後の水準と一致することになるが異なる点はボラティリティが低下するため市場がより細り中国に日本企業が買収されるM&A関連と一部技術関連以外は動きがなり、【他国が回復基調にある中での取り残され】という本当の危機を迎えることになろう。   強い自国通貨を持ちながら、それが観光旅行とエネルギー購入以外に何も生かされず衰弱死に向かうとは、なんという国家運営であろうか。

 お時間のある場合は以下の理由をお読みください。


 日本の経済の近未来を占う意味においてまずは以下の4点の示すところを理解する必要がある。

 [1] 人口構成のひずみ
 [2] 老人の考え方の蔓延
 [3] 宗教も道徳も法治もない社会
 [4] 鎖国

■まず人口構成のひずみ■

 いわゆる若年層の減少と老年層の増大であるが、ここから単純に導きだされることは消費の縮小と労働効率の悪化と行動範囲の縮小である。   年をとると食べなくなり、買わなくなり、働けなくなり、動けなくなる、団塊の世代が定年退職して消費をし旅行をするなどというのは好景気に惑わされた一時的な幻想である。   すなわちGDPは長期低下トレンドにはいっており、労働効率も悪化トレンドで国際競争力は低下し、不動産は人口減少のため全体で見れば当然下落する。   2008年に始まった金融不況は、このような大きなトレンドの転換点でに起こったため、現状の停滞がさも金融不況のためであるかのような錯覚をもたらしている。   もちろん金融不況がなければしばらくは惰性の中に留まれたかもしれないが。   その意味では早く手を打つチャンスともいえたわけであるが、またしても不作為(というよりは事なかれに由来する無能力)のため予算のばらまきに終始した。   これもまた老人国家の所以で、今日明日のこと以外には考える必要がないのである。

 大型タンカーに例えれば、すでにスクリューの推進力はほとんど止まっていたが質量が巨大であるだけに惰性で進んでいたところに氷山に接触して急減速したのが昨年の10月であり、その反動と乗組員が急遽エンジンをふかしたことにより、進路をほんの少し変更して動き出したということである。(ただし燃料(方向性の明示)はすでに残り少ない)

 昨年11月に予想した通り金融不況そのものによる急減速は世界が一致して危機感を感じ、一斉にテコ入れしたことにより素早く回復したわけであるが、これからの動きは各国まちまちになるのが当然である。   巷にV字型とかL時型とか言われているが世界のどの国も同じようになるはずはなく、そのような意見は本質を見ていないといわざるを得ない。   人口が増え続けて内需を拡大する余地と英知のある国は経済成長を続け、そうでない国は衰退するという当たり前のことが起こるだけである。   内需を拡大しないで他国の内需拡大による世界貿易に頼るだけの国はつまはじきになるであろう。   つまりここから先は国ごとに全く異なる。

■老人の考え方の蔓延■

 老人の考え方の特色は投資をしないことである。   言い方を変えればリスクを取らないことである。   金融詐欺に騙されるのはリスクを取らずに資産を増したいという心の隙に乗じられた結果であって投資の結果ではない。   孫におこずかいをやることはあっても教育費は出さないわけである。   誤解なきよう述べると老人が老人の考え方であると言っているのではなく、若者を含めた日本の多くが老人の考え方になっているということである。 

 そもそも景気が拡大するためには新たな価値を創造する投資が必要であるが、日本においては誰もその必要な投資をしようとしないことが問題である。   大企業は政府の財政出動に頼り、政府と官僚は海外の購買力に頼り、国民は金融機関と補助金に頼っているわけであるから、本当の投資はどにもない。   ベンチャー資金にしてもIPOが見えてきて初めて資金を出したいとなり、M&Aにしても他人が創造した会社を余裕資金にまかせて買えばいいという考えだけである。   炭素ガス排出量を減らすことが国民負担増になるなどという、価値の創造がもたらす新しい世界という概念を理解できないもの、がリーダーであるというのはなんと悲しいことか。   新しい価値の創造は老人にとってはそれまでの生きざまの否定と感じるのである。   若者の将来に価値ある未来を残そうとしない老人国家で誰が子供を育てたいと思うであろうか。(少子化対策が老人の将来を守る為の子供がほしいだけなのは見透かされている)

 枯れつつある大平原でやっと出てきた数少ない新芽を老いたハイエナが先を争ってついばむ構図である。(そしてこれからは肉食獣のテリトリーに無作為に食事に行くこともかなわなくなる) 大企業も官僚も国民も誰もが種を自分から蒔くリスクは取らず人が蒔いた種に芽が出ることを、もっと種を蒔けと大合唱しながら、ただ見ているわけである。

■宗教も道徳も法治も何もない社会■

 国の進むべき方向を転換させるためには方向性が必要である。 方向性を得るためには哲学がいる。   しかし宗教も道徳も法律も哲学のベースになりえない日本では方向性さえも持つことができない。   官僚と大企業経営者が考えているものは古い方向性に沿った戦術でしかなく(その方向性も戦後復興期では自然に与えられたものでしかなかった)、シビルサーバントとしての優秀な役人という概念さえも存在しない日本では期待すべくもない。   また政治家にそんなことが期待できない(彼らも同じ日本人である)のが解りながら『それは政治の役目だ』などと言い募る人がいかに多いことか。

■鎖国■

 外国(日本人が外国という場合は誤解を恐れず言えば、金髪碧眼であろうが)に憧れを抱きありがたがる態度、反対に切り込まれればかたくなになる態度、白人以外の諸国を区別する態度、それらすべては精神的鎖国から抜け出せていないことを示している。   去りゆく米国をありがたがり、強いきずなを構築するべきアジア諸国に嫌われるありさまでは正しい方向性は発見できないであろう。



以 上
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